日本透析アクセス医学会 理事長就任にあたり
このたび、川西秀樹理事長のご退任に伴い、2025年9月より新理事長を拝命いたしました武本佳昭でございます。微力ではございますが、学会のさらなる発展に尽力してまいります。
日本透析アクセス医学会は、1998年に故・太田和夫先生を会長として創設された「日本アクセス研究会」を発展的に改組し、設立されました。初代理事長には故・大平整爾先生、二代目理事長には川西秀樹先生が就任され、両先生の卓越したリーダーシップのもとで大きな発展を遂げてまいりました。この間、ヨーロッパ Vascular Access Society (VAS)、アメリカ Vascular Access Society of America (VASA)、アジア Asian Pacific Society of Dialysis Access (APSDA) などの国際学会とも連携し、国内外に透析アクセスに関する最新の知見を積極的に発信してまいりました。
さらに本学会は、学術集会の開催に加えて、定期的に実技研修会を実施し、透析アクセスの標準化と新技術の開発に寄与してきました。2020年には「VA血管内治療認定制度」を創設し、その認定医制度は IN.PACT™ Admiral™ 薬剤コーティングバルーンカテーテルや Viabahn® ステントグラフトの使用に関わる保険請求要件として位置づけられております。これにより、透析アクセス治療における本学会の存在感は一層高まり、現在では認定医が200名を超え、会員数も1,000名を超えるまでに成長いたしました。学術集会の参加者も年々増加し、2025年には2,000名を超える規模となっております。これらはひとえに、歴代理事長ならびに役員の先生方、そして会員の皆様のご尽力の賜物であります。
このたび、若輩ながら理事長を拝命することとなりました。歴代理事長が築き上げてこられた透析アクセスに関する貴重な取り組みを大切に継承しつつ、会員の皆様とともに新たな知見を発信し、患者さんの利益に直結する学会活動を推進してまいる所存です。どうか今後ともご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025年9月
武本 佳昭
日本アクセス研究会の法人成立:新たな一歩を踏み出そう。
日本透析医会主催の「アクセス研究会」が開始されたのは1989年で、第7回の1995年まで継続されました。透析医会はその研修課題をアクセスに限定しない方針に変更いたしましたが、維持透析におけるアクセスの重要性に鑑みこの領域を特化して論ずる場として「アクセス研究会」を独立した組織で運営することが太田和夫先生らから提案され、1996年に発足いたしました。第1回研究会は1998年高松市(主宰:沼田 明先生)で開催され、以降、全国各地で特徴ある研究会が開催され、その多大な成果(業績)を「腎と透析・別冊」に掲載された記録集で振り返ることができます。第12回研究会世話人会(主宰:政金 生人先生)で本研究会の法人化が発議承認され、その手続きが内藤秀宗先生・川西秀樹先生らを中心に進められてきましたが、2009年8月24日に「特定非営利活動法人・日本アクセス研究会」として承認されました。本研究会は今後明確な公的基盤を有する組織として、新たな一歩を踏み出すことになります.これまでも本研究会の発展に寄与してこられた諸氏が正会員または施設会員として参画され、一層活発な学術活動が展開されることを強く望む次第です.維持透析の命綱・ライフライン・生命線と目される血管・腹膜アクセスの成績向上への情熱を絶やさずに、今後も会員一同で奮励努力する研究会を目指しましょう。
2009年9月29日
大平 整爾